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2025年6月 3日 (火)

礼真琴サヨナラショー

星組公演 阿修羅城の瞳・エスペラント!の、大劇場千秋楽が終わりました。ファンとしても、まさにラストスパートの遠征でした。まだ東京公演があるので、今日はサヨナラショーの感想だけ書いておこうと思います。

(写真は、退団仕様に変わった”白ごまこっつ餡 (白ご まこっつあん)”。紫陽花が咲いた花の道。退団者プレート)

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公演の残りが少なくになるにつれ、礼さんではなく、周りの人たちが泣くのを我慢しているのが伝わってきて…。Now On Stageでの様子が舞台上でも感じられていました。

そして前楽となり、サヨナラショーが開演。セットリストをメモしながら、舞台を見て泣いて、涙を拭いてまたメモして…と忙しい時間になりました。以下は、私が書きとめたメモを、友人たちと打ち上げしながら確認した内容になります。

礼真琴 サヨナラショー セットリスト

* 前奏: アンセム:Souls + グランカンタンテ

* ロックオペラモーツアルト:道を開けろ (礼)

* 1789:革命の兄弟 (礼 暁 極美)

* 王家に捧ぐ歌 世界に求む (全員)

* Ray -星の光線- (極美 詩 小桜 瑠璃)

* モアーダンディズム!:ハードボイルド(PARADISO) (男役)

* ディミトリ:夜明け色に咲いた花 (退団娘役)

* めぐり会いは再び:Love Detective (礼)

* ジャガービート:あの日の翼を探して (礼)

* 柳生忍法帖:覚悟 (弔ってやれる女がいる) (礼)

* ヴィオレトピア: 追憶の劇場 (暁)

* BIG fish:終わり方 (礼)

* 1789:悲しみの報い (全員)

* RRR:エッタラジェンダ (全員)→客席降り

感想

まずは、多方面に配慮した最高のセットリストだな…と思いました(それぞれの公演を観た時の感想に飛べるように、リンク(下線部分)もつけておきました)。

始まりはアンセム。礼さんご自身がプロデュースしたオリジナル曲を使ったプロローグで、一気に世界が「礼真琴ショー」に♪  (主旋律はSoulsですが、下パートがグランカンタンテだったと教えていただきました。それが聞き分けられるなんて、すごい!)

始まりは懐かしい曲が多かったけれど、それと同時に辛かった記憶もどっとよみがえってきたんですよね…。1789は、3週間近く大阪にいたのに結局初日以外は全て休演となりましたし、王家に捧ぐ歌も前半は上演できず、劇場で観劇できた人が少ない公演です。現在も続いている戦いが始まった時の公演で、とても複雑な思いもありましたしね…。

それでも、こうやって歌を聴くと本当に懐かしく、当時観劇したときの引き込まれた気持ちを思い出しました…。1789の、暁さん・極美さんと「兄弟だ」と歌う革命の兄弟は、琴さんからのメッセージにも思えるし、星の先輩のお披露目公演でもあった平和と希望の歌を、星組全員で歌うのも感無量でした。

極美さんが娘役を引き連れて歌う場面は、Ray。コロナ禍で中断した演目でしたので、今でもこのショーは観るのが辛いです。宝塚の千秋楽は、報道のカメラに絶対映らないように、避けるように劇場に入りしたことなども思い出しましたが、でもそれらを乗り越えでここまで来たのだな…と思いました。(だからこそ、琴さんの最後のご挨拶に共感しました…)

そしてモアーダンディズムのハードボイルド! ここまで感傷的だったのに、一気に目が♡になりました!(笑) 決めポーズの視線を”がっつり”浴びた記憶がよみがえり、ワクワク感で幸せ一杯になりました。そして、その時いなかった暁さんが、これでもか!と熱く踊っていましたね。昔は琴さんが張り切り過ぎというくらいに踊っていたのに、このショーでは「琴さんの抜け感」と「ありちゃんのがっつり感」の対比がすごく良かった

退団者の娘役さんは、どなたも歌姫。娘役のハーモニーが美しいリラの歌をりらちゃんが歌った時、涙がどっと出てきました…。

めぐり会いは再びの超難曲、ジャガービートと懐かしい歌のあと、柳生で涙が…。柳生のラストの歌を使い、「もう一人、俺だけが弔ってやれる女がいる」というセリフで、先に退団した舞空瞳さんを、しっかり客席に思いださせました。もう感服でしたね…。

そして暁さんのソロのあと、何とBIG FISHの終わり方!!!実は先週、「男役礼真琴の最高傑作は、BIG FISHの終わり方だと思います」とファンレターに書いたばかりだったんです…。その上歌詞が、まさに”サヨナラの気持ち”を綴ったもの…。

”君がいて、俺がいて、望んだ通りに幕は下りる。みんなここにいて…君の愛情に包まれ旅立つ。俺の人生は完璧じゃない、でも語り継いでくれたら嬉しい。もうすぐ道は途切れる、あの日に見たまま、身を任せ行くのだ”

もうね…鼻をすすって周りにじゃますることがないように、涙を必死で拭きましたし、嗚咽しそうになって必死でこらえました。あの壮大な曲を、役としてではなく、琴さんご自身の気持ちとして朗々と歌い上げた姿は、一生忘れないと思いました(版権で残らないかもなので…)。

1789悲しみの報いは「歴史の波間に浮かんで消えてゆく、ひとつの命の叫ぶ声が…明日の歴史を作る。」という歌詞が、タカラジェンヌがつなぐ宝塚という意味だったのだろうな…と。これを全員で歌うなんて…本当に素敵な選択!

そして最後はRRRのエッタラジェンダ! ここで腕まくりする琴さんが大好き! 最高に楽しい気分になったところで、何と琴さんが走ってくるではありませんか!もうここで触れなかったら一生後悔する!と思って手を差し出し(通路側のお席だったのです)、しっかりタッチできて泣き笑い。終演後は、放心状態のまま必死で自分の手の写真を撮っていました(笑) 最高のサヨナラショーでした…♡

長い千秋楽が終わり、やっとこれを書けるだけの体力が戻ってきました。引き続き筋トレに通って、夏に向けて体力付けたいと思います!(去年9月の退団発表以降、筋トレとダイエットをがんばりました♪)

2025年5月25日 (日)

【星組】エスペラント!感想

今日は、星組阿修羅城の瞳の2幕として上演されているショー、エスペラント!の感想です。お芝居についてはこちらになります。

【星組】阿修羅城の瞳・エスペラント! 大劇場初日(ネタバレなしの印象・感想)

【星組】阿修羅城の瞳 大劇場 感想(詳しい感想)

写真は、もう大劇場遠征は最後と思って行ったお店です。

  • 宝塚ホテルのイブニングプレート
  • 大劇場の見えるzukekura DELI&CAFE
  • ルマンの組み合わせフルーツ

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初日の印象

初日の感想は一言で言えば「このショーで良かった」。今まで挑戦的なショーが多かったこともあり、純粋に王道の宝塚のショーを楽しみ、礼さんの最後の姿を見納めたいな…と思っていたからです。

ただやはり、前回のショー「ティアラアスール」の、舞空さんとの2つのデュエットとティアラを授けるシーンがあまりに美しく多幸感にあふれていたため、初日は複雑な心境があったことも事実で、この初日の報告では自分の感想を書くことができませんでした。 また、”このショーを8月の最後の日に見ている自分の姿”が脳裏に浮かび、「その時」を想像してしまったことも原因の一つかもしれません。

その初日に書いた報告はこちらです。

「ショーは王道の展開。ロマンチックレヴューを彷彿とさせるプロローグから始まり、美しいパステルグラデーションのシーン、カーキ色の摩天楼、極彩色の熱いレビュー、青い海と青い星…と、様々なシーンを楽しむことができます。そして後半1/3は、礼真琴さんの退団仕様。」

現在の印象

そこから約一か月経ち、そんな初めの葛藤はどこへやら。2回目以降はとても楽しく、後半は毎回涙ぐみながら観ています。お芝居に緊張感があり観る方も集中力がいるため、ショーは心穏やかにどの場面も楽しく拝見しています。

それでは、個々の場面で感じたことを箇条書きで書いていきたいと思います。

プロローグ~色彩のバレエ~摩天楼

伝統的なレヴューの香りを残しつつ 、洗練されたショーと感じる幕開きです。パステルカラーはグラデーションで、色彩豊か。歌劇の座談会を読むと、特定の地域や時代に縛られない、青い星(地球)巡りの宝塚レヴューということで、プロローグはロマンチックレビューの雰囲気ですね。

銀橋に残るかのんくん、ディズニーの王子様みたいで素敵♪

暁さんのペントリスト(画家)は、鈴蘭の時に少し女性みが残っていた琴ちゃん風。かつらが似ているせいもあるかな。

色彩のバレエは、1幕で女鬼だった星咲さんと鳳花さんが美しく、いつも目で追っています。「白」の象徴として現れる極美さんと、画家の暁さんが踊るシーンはナルキッソスを思い出しました。

イチョウの場面はブロードウェイ風。礼さんとほのかちゃんのハーモニーがとても素敵です。忙しい日常の中にも身近な美しさを見出すという、ほっこりシーンですね。

水族館~Mrブルー

そして中詰め。海底レヴューになると、キタキタ〜!とテンションが上がります!血がたぎる!これぞ星組よねって感じ🤭 ラテンショーの雰囲気ですが、原色のお衣装についている折り目のついたピラピラ は「魚のひれ」です!

実は「肩甲骨」というメモがしばらく意味不明だったのですが、それは娘役の魚さんと踊る時に手をヒラヒラさせるところでした🤭でも何で、そこがツボったのかが思い出せない(笑)

この場面、暁さんと礼さんが男役2人で踊るところは、貸切のアドリブが入る場面です。私はぴあの貸切を見たのですが、最初二人がドスの効いた声で「ぴあ!」と言った時は客席反応なかったけど、横移動の時かな。「ぴあぴあぴあ~!」と言ったのでやっと笑いが出ました✌️

Oh Mr.ブルー… 何て青く美しい星…と初めて聞いた時、これ知ってる…?懐かしい!でも何でJ-popに疎い私が知っている…?と思ったんですよね。調べたら、これをテーマ曲としたNHKの番組を子供の頃に見ていたようです。Mrブルーのお衣装が美しく、とっても素敵。ここは、琴さんが地球そのものになる、という場面なのだそうです。

人形小屋

西洋の近世やコッペリアを彷彿とさせるシーンで、お衣装は未来的でもあり不思議で妖しい空間。…と思ったら、何とクジラの腹の中でした。確かに歯車が釣り下がっているシーンは、肋骨なんですよね!そうだったんだ…と思って、2回目に背景をよくよく見ていたら、飲み込み映像がありました。コッペリウス(暁さん)が作った人形たちのシーンですが、暁さんの眼鏡姿、いいですね♪

この場面。2週間空いて観劇した時に、礼さんの体幹に心底驚きました。初日も人形らしいとは思いましが、真ん中に糸が通っている「あやつり人形」そのものになっていて…。殺陣だけでなく、このような1シーンまで手を抜かず進化し続ける琴さんに脱帽でした。

青い星~初舞台生タップ・ロケット

千住明先生が楽曲を提供された青い星。卒業公演にふさわしい壮大なメロディーで、次々と組子と関わる振り付けも涙を誘う場面です。

ただ最初観た時は、「青い星」なのに青ではないのね?と思ったんです。プログラムを確認して、それが「命の灯の色」なのだとわかり、歌劇を読んで「青い星にこれから降り立つ存在」と知りました。初舞台生と卒業するトップスターが存在するこの公演を、命のサイクルがある地球を重ね合わせたものだということですね。なるほど。

そしてこのあと、舞台上で白い衣装に着替えて礼さんがタップを披露します。それは礼さんの初舞台公演の曲で、それを初舞台生につないでいくという演出です。これだけハードな公演の最後にタップするのは大変だろうなぁ…と思いますが、琴さんのタップを見られたのはとても嬉しいです♪

黒燕尾~フィナーレ~星の夜~パレード

黒燕尾は、最初の歌で毎回涙が溢れます。もうわずかとなったこの日を大切に過ごしたい(ニュアンス)という歌詞のところです。黒燕尾の男役群舞が観られて、キャリオカ風の娘役と燕尾の男役が観られて、本当に素敵なフィナーレですね。退団者や同期との幸せな空間…大好きです。

そして、最後に1人で舞台と別れを告げるシーンは、歌劇のために貢献してくれてありがとう、今まで続けてくれてありがとう…という気持ちになります。静かに曲を終わらせる振りも最高。あと何回観られるか分かりませんが、このまま無事公演が進み、最後の日にここで精一杯の拍手を送ることができたらいいな…と思います。

最後に

もうすぐ大劇場千秋楽がやってきますね。無事その幕が下せるよう、私も祈りたいと思います。

追記:サヨナラショーの感想はここをクリック

【星組】阿修羅城の瞳 大劇場 感想

 2025年4月19日に初日を迎えた、星組 阿修羅城の瞳。『新感線を宝塚で舞台化する』と聞いて私が最初に思ったのは「礼真琴さんがとうとう退団するのだな」ということでした(詳細についてはこちらを参照ください⇒ 礼真琴さんの退団発表)。そこから半年経ち、初日を観た感想がこちらになります。

【星組】阿修羅城の瞳・エスペラント! 大劇場初日

この中では、”観劇前に知っておいた方がよい情報”や”舞台の印象”を書いたので、今回はネタバレありで思いつくままに感想を書いていこうと思います。

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  • 「ボヌール」鬼より団子。礼さん仕様のみたらし団子と柴犬
  • 宝塚駅前
  • 花の道から見た、春の大劇場
  • フェリエ ヴィオレランチ「鰹のマリネ 黒ごまソース」
  • 最後は、青い星のお衣装が相棒ポケモンのジラーチを彷彿とさせたので…😅

冒頭・鬼

開演アナウンスと同時に、炎の中から鬼たちが登場。星組屈指のダンサー揃いで、魑魅魍魎(ちみもうりょう)としての身のこなしが素晴らしい。例えるとトートダンサーの位置付けで、斬られ役としても最高ですし、くるくる回す両剣の扱いが素晴らしい。娘役さんまで濃い鬼メイクで、見るたびに凄味が増しています。礼さんの殺陣は異次元!と思いますが、それは斬られ役の鬼たちの身体能力も貢献していると思っています😉

出門と鬼の少女

その開演アナウンスが終わると同時に、下手扉から下手通路を通って出門(いずも:礼真琴)が登場!うす笑いを浮かべながら効果音と共に鬼を切る姿は恍惚としていて、佐藤健さんの”抜刀斎の頃の剣心”を思い出しました。


「人間は鬼だ」と言う少女の鬼を出門は殺しますが、目が開いたまま絶命する姿が出門の心に刺さり、鬼御門(おにみかど)を去ることになります。これが本作品の題名の瞳につながっているのですが、この時の茉莉那さんのお芝居が印象的。彼女の歌も観客の心に突き刺さりますが、目の演技がまた素晴らしい!

初日の頃は、子供を切った後の出門が刀を鞘に収める時の「剣先の優美な弧」に魅了され心がときめいていたのですが、この場面、今は出門の心情が見えて苦しくなります。

全員登場のプロローグ

とてもワクワクする♡ 次々に登場する鬼御門たちは単純にかっこいい♡

出門と阿修羅姿のつばきが盆の上で歩くところは、出門の粋な雰囲気と、つばきの美しさにしびれます♡。ヒロインのつばきの方が背が高い件については、天海祐希さんが出演されていた2003年の公演そのものに見えて、これぞ阿修羅!と思います。

このプロローグ。邪空(極美)が出てくる時に、桜姫(詩)と阿部清明(ひろ香)の一行が橋の上にいます。ここで何をしているかを、是非チェックしてみて下さい♪ これが事件の鍵となります。

江戸日本橋・中村座

時は五年後。礼真琴ファンの私が、礼さんが舞台上にいるのに、他の役者さんに目が釘付けになりました。それは、自称相手役の輝咲さん!コメディエンヌに徹していますが、ふと見せるしぐさに、美しさがにじみ出てる🤭輝咲さんは毎公演、印象的な役どころを見事に務めてくださっていますね…素晴らしい役者さんだと思います。

またこの場面で、忠臣蔵と四谷怪談の話が出てきます。私は今回初めて知ったのですが、”四谷怪談”は鶴屋南北によって”忠臣蔵外伝”として書かれたもので、セットで上演されたという史実があるのですね。そしてお芝居の後半に出門が「首が飛んでも〜動いてみせるわ!」と言う場面がありますが、これも歌舞伎の四谷怪談の台詞です。初日は、首が飛んでも…ところは歌舞伎っぽいなぁ…でも何で忠臣蔵…?と思っていたのですが、背景を知ってなるほど!と思いました。

あと、オーム・シャンティ・オームを彷彿とさせる、美稀さんのアドリブダンスがあります。私が分かったのは、ハードボイルドの指パッチンの日🤭キャー💕(笑)

この時の礼真琴さんの滑舌が神業のようです。こんな早口あり!?と思うほどなのに、聞いたことのない単語でもあとから調べられるほど、全ての台詞がきっちり頭に入ってくる。例えば、忘八(ぼうはち)、調伏(ちょうぶく)などの言葉は、観劇後に調べて納得でした。(余談ですが、仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の場面は、八犬伝の人形の剣士が目の前に浮かぶ私です😉)

この滑舌。千秋楽になるに従って台詞の速さも緩急自在となり、その余裕が色気として伝わってきます♡ ほんとすごい。そしてつばきに「四分六で」と言うところは、ス・テ・キ♡


邪空・鬼御門(おにみかど)

鬼御門は「闇にうごめく異形の一群を退治するための特務機関」という警察のような組織ですが、女泥棒のつばきは、鬼御門に追われたり、助けられたりします。そのため最初は頭の整理が必要でしたが、要は、頭領(安倍晴明:ひろ香)と副長(邪空:極美)が内部分裂している、ということです。この星組版は、副長が既に頭領を殺して組織を自分のものにしたところから、話が始まっています。

今回極美さんが、その重要な鬼御門の副長、邪空を演じています。本家の邪空よりは軽い感じの役作りですが、鬼となってからの立ち回りは見事です。私が映像で見た時の印象は、邪空が”出門の強さ”に嫉妬していたような記憶がありましたが、歌劇の座談会によると、「邪空の望みは出門に見てもらうこと」なのだそうです(原作の中島さんがおっしゃったそうです)。面積の広い髪型も、”出門の目に入るため”なのだそう(笑)それは分からなかった!

見てもらえないほど格下と思われていることは、邪空にとって侮辱であり屈辱なのでしょうが、実際には「自分か邪空しか晴明を…」という台詞がありますので、出門は邪空の力量を認めているのですよね…。でも邪空には伝わってない。その邪空の執念がこの物語を動かしています。

女の鬼たち

小桜さんの美惨(びざん)を頭として、白妙さんの阿餓羅(あがら)、紫さんの吽餓羅(うんがら)、瑠璃さんの笑死(えみし)の女鬼チームの強いこと!琴さんの出門は、りらちゃんに二回刺されて瀕死状態になります😅

またこの3人の歌が最強!笑死の薄ら寒くなる歌も、三人の迫力あるロック魂を感じる歌も、この舞台になくてらならないと感じました。

安倍晴明親子

桜姫(詩)、最強ですね!見ていて本当に小気味良く、弾け方の按配がお見事。星組版の桜姫は、”ぶっとびキャラ”だけれど、とても愛らしい桜姫です。”愛は鉄砲、数打ちゃ当たる!”という家訓にたじたじの出門ですが、少し前は赤と黒の「こじらせマチルド」と「陰キャラのジュリアン」だったことを思い出すと、役者ってすごいな〜とあらためて思います🤭

桜姫の父であり、鬼御門の頭領の安倍晴明は、カッコいい歌舞伎風の登場ですが、「打鬼の鏡」は"あやかし"というよりは"破壊光線"とか"ビーム"っぽい笑。そのアンバランスが笑いを誘います。

あと、友人から小道具としての打鬼の鏡は2つあると教えてもらいました。光を発する分厚めのものと、出門が持っていく時の薄いバージョン。確認したところ、新感線の舞台でも光を発する方は分厚いですね。

あと、プロローグの影ソロはひろ香さんですが、安倍晴明として最後に銀橋でも歌っています😉大劇場のソロは、ひろ香さんの望みでしたよね。願いが叶って良かった!と思いました。

闇のつばき

初日はまだ手探りのように見えた闇のつばきですが、今は女声も自然で美しく、傷の手当てをする場面は色っぽく出門に寄り添っています🤭この、心を通わせるシーンのデュエットが最高です!

また阿修羅城へ出門が乗り込む時には、神剣(縁切りの太刀)、打鬼の鏡、椿のかんざしなど、フル装備で決戦に挑みますが、鬼となった阿修羅の貫録が迫力満点で、出門との最終決戦に挑んできます。最後に阿修羅に女の心が戻るところと、それでも止めを刺す出門の悲しみ…。悲恋の最期は切なく哀しいけれど、心に響く美しいラストシーンです。

そうそう。最後に止めを刺すかんざしが落ちた日もありましたが、角度を調整して衣装を使って切り抜けてました。さすが👍

これは余談ですが、つばきの帯は、江戸時代の「引き抜きの角出し結び」です。町娘もですが、タレや前側の上部に、裏地の黒が見えています。詳しく知りたい方は、詳細をこちらに書きましたので見てみて下さい。

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病葉出門(わくらばいずも)

礼さん。初日からギア全開で演じられていますが、2週間空いたら別次元になっていました😲どこまで高みに挑むのか…と思うほど細部へのこだわりを感じられるようになり、「集大成」にふさわしいお役になっていると思います。

裾を持ち上げて走る歌舞伎の所作。人を斬る殺陣。刀を鞘に収めるときの弧の美しさ。緩急自在の滑舌…。粋な江戸っ子が、一瞬で剣士の顔と色気とまとうお芝居。のびやかで力強く人を魅了する、銀橋での歌。そして私が声を大にして言いたいのは、全編通じて”イケボ”。特に、「待たせたな…」「なぜ美惨に声をかけた…」というセリフは、男性の声より色気があると思います♡

語り出したら止まらないので、残りは「ファン目線で」のセクションにまとめます🤭

新感線との違い

基本的に、星組版の台詞はほぼ原作を踏襲しており、原作の何割かを削除したという方向です。登場人物を減らし、鬼が江戸の町を襲う場面なども含めカットしたシーンも多く、最後の決戦もかなり短くなっています。細かいことは省きますが、以下は星組版だけを見たときに疑問に感じたところなど、原作を見返して納得した部分です。

*星組版は時系列に並べ替えられており、初見でもわかりやすくなるよう配慮されている。

*南北先生がかなり違い、新感線では早々に鬼に魂を売っています。星組版で”主演が鬼に食われた”と一言の台詞で終わっている事件は、南北のさしがねで殺されていますし、出門が「不覚をとった」シーンも南北に斬られています。

*出門から「死んでなかったのか」と言われる”鬼となった邪空”ですが、いつ出門が倒したんだっけ…?とその場面になる度に感じていました。原作版では、阿修羅誕生のシーンで邪空が登場し、出門との対決で斬られます。その後、阿修羅から血を与えられて蘇り、阿修羅城へ連れていかれるのです。そこはあっても良かったかな~と思いました。

礼ファン目線で…

*出門の草履が脱げない!邪空にやられて倒れても脱げてない! ちなみに、南北先生の草履は、ムーンウォークの日に2回脱げてました(笑)

*出門が邪空と対峙するところ。出門が「おめーはその時どこにいた…」静かに言う時の目が最高♡。声もイケボでくらくらします(笑)。かっこいい♡と思う間もなく、人の刀を抜いて対峙する時の、剣捌きが更にかっこいい♡初見では、何が起こったのか分からないほど早かった。
 

*左手で着物の裾を持ち上げ、ふくらはぎ全開で走る出門の姿が色っぽい。無駄な脂肪のない、筋肉質なふくらはぎは見応えあります♡
 

*ラスト桜の場面。曲が始まる前に正面向きで見えを切る時、センター後方からオペラで視線ガッツリいただいた時は、卒倒するかと思った♡
 

*その後の、前奏の間に終わらせる殺陣が格好良すぎ♡ 退団仕様なのに、目がハートで一杯になる♡ 泣きながらも幸せな気持ちになるラストです♡

*ぴあ貸切。陰陽師の2人が、「(高音の声で無表情のまま台詞に続けて)ぴ〜あ〜」、「(なんとか〜)ぴ〜あ〜」とうたうように言いながら自分が笑っていたので、琴さんまで笑っていましたね。さきっぽ、お手柄(笑)

最後に

長くなったのでショーは別記事にしますね。⇒ エスペラント!感想

サヨナラショーまで残り一週間となりましたが、少なくとも配信では必ず見ますので、また感想をアップする予定です。⇒ サヨナラショー感想

2025年4月22日 (火)

【星組】阿修羅城の瞳・エスペラント! 大劇場初日

星組公演、阿修羅城の瞳の初日を観てまいりました。私は映像で一度だけこの演目を見ていますが、既に記憶の彼方…という状態で初日を迎えました。そのため、終演後にプログラムを読んで、これから見る方は知っておいた方がよいかも…と思うことが何点かあったので、少しまとめてみたいと思います。これからの観劇の参考にしていただければ幸いです。

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《作品構成》

お芝居
宝塚としては異色で挑戦的な「新感線」の舞台を、見事に星組メンバーで再現!でも逆に、次期娘役トップが3枚目役、スミレコードすれすれのセリフ、娘役さんが顔も分からないくらいの鬼役、男役スターさんの多くが主演も含めて刀で切られる役、展開は早い(原作を半分の時間にしているため)…ということで、付いていくのに少し覚悟がいる作品。

ショー
逆にショーは王道の展開。ロマンチックレヴューを彷彿とさせるプロローグから始まり、美しいパステルグラデーションのシーン、カーキ色の摩天楼、極彩色の熱いレビュー、青い海と青い星…と、様々なシーンを楽しむことができます。そして後半1/3は、礼真琴さんの退団仕様。

感想
礼ファンとしては、琴さんの色々な姿をもっと見たい!と思いましたけれど、全体的にとてもバランスの取れた構成ではないか…と思いました。

《原作者》

*原作/台本 中島かずき氏、原作/演出 いのうえひでのり氏

*台本を書いたのは40年前。いのうえ氏から「恋をすると女が鬼になる話を」と依頼があり作られた作品。

*この作品は新感線の中でも”家宝”というべき演目で、商業演劇としてターニングポイントになった演目。

*いのうえ氏は「宝塚でやるとしたらこれしかない」と考えており、中島氏も、今回の企画の提案には前のめりでOKを出したとのこと。

*初日をご観劇された後のインタビュー。「非常に満足。宝塚として甦ったことに感動した。”この世でないものを上演する力”や”訓練された所作”が素晴らしく、芝居愛に溢れていた。ぜひ新感線のファンの方に観てもらいたい。」

感想
私はプログラムを読んで、「宝塚側からオファーを出した企画だ」と分かったことは大きかったです。そうか…納得…と思いました。そして、インタビューを見た時に「新感線ファンがこれを観たら、礼真琴さんにはまるのでは?」というお言葉は、礼さんのパフォーマンスに満足した証ではないかと感じて、素直に嬉しかったです♪

《時代背景・鬼》

*時は江戸。鬼と共存している世界で、鬼御門(おにみかど)が鬼を退治している。

*鬼御門の頭領が安倍晴明(あべのせいめい:ひろ香)で、副隊長が邪空(じゃくう:極美)

*鬼の頭が美惨(びざん:小桜)。鬼の魁(さきがけ)という名前ですが、かしらという意味だそうです。

感想
鬼は、覇気迫る演技で圧倒されます。鬼御門の面々の殺陣も素晴らしい!

《ヒロイン つばき : 暁》

*5年前からの記憶しかない女性、として出門(いずも・礼)の前に現れる。

*肩に、椿の形をした謎のあざがある。

感想
私は一度、映像でですが2003年版の阿修羅城の瞳を見たことがあります。その時の天海さんが主演の市川さんよりも背が高かったこともあり、暁さんのヒロイン役はイメージ通りでした!→ 『阿修羅城の瞳 2003』 

全ツのグランカンタンテ初日は、暁さんが星組に異動されて初めての公演でした。そこで暁さんが女役として琴さんとデュエットを踊った時の、緊張で引きつった顔が忘れられません。でもそこから時が経ち、今回琴さんの横に立つ姿は、きりりとした色気があって美しい。そして最後の「闇の女王」感も見事でした。

《主演 病葉出門(わくらば いずも):礼》

*出門はもともと鬼御門で、「鬼殺しの出門」と称されていた。

*幕開き冒頭の事件がきっかけで鬼御門を去り、鶴屋南北(つるやなんぼく:美稀)の一座で5年過ごしていた。

感想
筋肉質のふくらはぎを、何度も拝めます…(笑)おみ足に目は釘付け♡。…というのはさておき、こんなにも早口でしゃべっているのにセリフが全部頭に入ってくる!すごい!と思っていたら、専門家(ナレーター)の方が「活舌が神」と表現していらっしゃいました。さすがですね。また、殺陣をつけた清家先生が礼さんを称賛しているそうです。宝塚の殺陣は今まで剣舞に近いものがあったと思いますが、今回はまさに殺し合いの「殺陣」(*_*;。本当にすごい…。

退団の最後の最後まで、一瞬たりとも気を抜けない演目だと思いますが、まずは無事始まったことに安堵いたしました。8月の卒業まで駆け抜けられますように。個々の場面について詳細が書けるようになったら、また別記事で感想を書こうと思います。⇒ 大劇場 感想

2025年1月22日 (水)

星組 武道館 ANTHEM-アンセム- 感想

礼真琴さんの武道館公演。初日から全公演、観てまいりました。礼さんが「最初は、席が埋まらないという夢を見るほど心配した。」とおっしゃっていましたが、終わってみたら4日間5公演、全てが大盛況でお祭りでした!

前半のJPOPは"これぞ武道館"という内容で、「これからの礼真琴の無限の可能性」を感じる構成となっています。ここに「今までの礼真琴」として、後半にダークな男役の歌を集めた構成が素晴らしいと感じました。これこそ、退団前にしかできない曲ばかり…。ほんと最高❣️❣️

ムケーシュの指先から炎が上がり、雪が舞い、武道館全体がきらめく星空となり、そしてその洗練された空間の中に浮かび上がる、礼真琴さんの美しいこと…。繊細で力強い歌声と大迫力の音楽は”極上の武道館ライブ”であり、”宝塚史に残る名コンサート”だったと思います。

私はJ-popに疎いので、最初”スタンディングライブ”に慣れるのに少し時間がかかりましたが、千秋楽はどの場面も大感動でした。その軌跡や印象の変化などを書き留めておきたいと思います。

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初日(状況把握の回)

稽古場情報から、J-popが何の曲か判明したので予習したかったのですが、なかなか時間が取れないまま初日を迎えてしまいました。その上、武道館は千鳥配置でないので、センター寄りで前の人が大きいと何も見えないのです。アリーナにいながら、モニターでアップのお顔だけ見て、舞台上で何をやっているのか分からなくて、曲は素敵と思うものの歌詞まで頭に入ってこなくて…。それでも、『タマシイレボリューション』と『流星』は圧巻!と思いましたし、大感動でした。

座って見る時間になって、やっと一気にその世界に引き込まれ、今までの軌跡に涙…。そして何と言っても『最後のダンス』が最高でした!この曲を琴さんトートで聴きたいからエリザを星組で…と願っていた私にとって、これだけで全てが昇華されたような気持ちになりました…。ロックなのに繊細な最後のダンス。これぞ琴さんの真骨頂!と感じましたし、『礼真琴の最後のダンス』と思いました。

そしてプログラムに載っていないアンコールは『星を継ぐ者』。この題名を聞いた時は、思わず小さくガッツポーズをしたほどでした。この武道館公演で取り上げられた曲は一貫して『自分を信じて一歩踏み出して』というメッセージがこめられていますが、「思い入れの深い曲だけれど、卒業を決めた今だから挑戦します」という言葉を聞いて、琴さんご自身が一歩踏み出したのだな…と思いました(泣)

日曜昼・夜(構成に感嘆!:夜は配信)

J-popコーナーを把握すべく、短い時間の中で歌詞やメロディーを確認しながら、復習して臨んだ日曜日。もう何というか…。畳みかけるような礼さんからのメッセージが心に響いてきて、そうか…そうだったのか…と涙が溢れて止まりませんでした。J-pop最後のECHOは特に、歌詞も曲も最高!心揺さぶられる曲ですね。席も、45度方向の後ろ側だったので、舞台も花道もよく見えて、やっと「武道館コンサートを楽しんだ」回となりました。

そして、星組メンバーも最高のパフォーマンスに挑戦してきていることが見えて大感動…。特に、礼さんの今までお役の衣装を他のメンバーが着て振り返るコーナーは、それぞれに見せ場があるというだけでなく、はっきりと進化の見える仕上がり…。ほんとすごい!と思いました。

その場面を見ていたら、完全自粛中もお手紙を書き続け、ほぼ全ての公演でコロナ中断という困難な時代をついていった記憶が、走馬灯のようによみがえってきて…(泣)。礼さんが宝塚ニュースで、このコーナーは今まで応援してきてくれたファンに届けたい場面とおっしゃっていましたが、もう大号泣モードに突入してしまいました。そして、それをVIOLETOPIAとして振り返るとは何と粋な演出! この場面のためのショーだったのかと思うほど最高でした🥹

その次のダークサイドは、ムケーシュもスカピンも、クオリティが当時とは比べものにならないほど完成していて鳥肌が立ちました。男役の色気とその完成度に、私のテンションは爆上がり(笑)! 特に、出演者全員のマダムギロチン❣️もう、これだけを見るために武道館に通える!と思うほど素晴らしかった❣️

アンコールの最後の題名が思い出せずにいたのですが、それが『The Greatest Showman』の『This Is Me』と分かった時、琴さんの(アンセムの)メッセージはこれなのね…!と、全てのピースがはまった気がしました。”自分を信じて前に踏み出そう”、”これが私。唯一無二の私。自信を持って!”と…。

キラキラ金テープが降り注ぐアリーナで、笑顔で踊り歌う皆様を大きな手拍子で応援できたこと。本当に幸せな…、感謝してもしきれない程の幸せな瞬間でした。

月曜夜ジェンヌ総見の回:配信)

夜まで時間があったので、仲の良い観劇仲間と「成都」という中華に行ってきました(95期生徒さんの実家だったお店です)。沢山のサインを見ながらヅカ話に盛り上がり、お腹いっぱい食べたあと夜公演に向かいました。

3日目になると武道館にも慣れてきて、スムーズに着席していたのですが、どこからともなくどよめきが…。気づくと、前日に千秋楽を迎えた花組メンバーが歩いていて、月組さん、星組にぎたつチーム、 OGの方々、下級生さん グループ、そしてちえねねコンビ!どこを見てもタカラジェンヌ&元ジェンヌさんばかりでした!

MCのコール&レスポンスで、男性~!イェーイ、女性~!イェーイ!、までは普通だったのですが、そのあと「タカラジェンヌ~!」「ぅお~~~!」と歓声が沸きあがるのがすごかった!多いとは思っていたけれど、ここまでとは!(笑) おとなしいヅカファンがおしとやかに歓声の声を届けていたそれまでの回とは違い、タカラジェンヌグループの歓声は、公演通して迫力満点でした(笑)

千秋楽 (BD収録回)

セットリストが頭に入った状態の千秋楽は、もうどこをとっても感動の嵐でした。しみじみとそのメッセージを感じ、この素晴らしい圧巻の公演をありがとう!感謝!…と思いながら、手拍子とライトで応援しました。初日に心に残った曲と、今日楽しみにした曲が全然違ったのですが、『マダムギロチン』と『This Is Me』は、ホ~~ント最高❣️

千秋楽のご挨拶後、武道館メンバーへ感謝の言葉を言おうとして詰まる礼さん…。ぽろぽろ泣いているメンバーを見て、こちらもウルウルでした…。

幸せに包まれた千秋楽を迎えた今、言葉に表せないほど素晴らしいコンサートに感謝の気落ちしかありません。スタイリッシュな演出効果、美しい琴さん、キレキレでカッコいい男役さんのダンス、可愛いだけでない芯のある星娘たち、こんなに見るだけでも眼福なのに、圧巻の歌声と腹に響く音楽はライブならではの迫力。自分もリズムに乗ってライトで参加して、毎日最高の体験をさせてもらいました。星組最高!礼さんありがとう!

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