私が始めて観たエリザベートは、2004年の正月。CSで放送された花組でした。その公演は、”おさ&あさ”として若手時代をずっと一緒に過ごしてきた二人が、黄泉の帝王トート(おさ)と暗殺者ルキー二(あさ)を演じていたのですが、そのルキーニが、数年後月組に移ってエリザベートを演じ、5年後にトートを演じる。それだけ考えても分かるように、円熟期に入った瀬奈じゅんさんのトートは圧倒的でした…。
花組の場合、エリザベートは娘役トップとして経験を積んだ大鳥れいさんの退団公演。そしてトートは、2番手の経験すらほとんどない、春野さんのお披露目公演。私が、何もそのあたりの事情を知らずに初めて観たエリザベートは、トートと対等なエリザベート皇后だったように思いましたが、それに比べ、今回のエリザベートは非常に若々しく、闇の帝王トートに翻弄される女性、と私には映りました。
私がこのように感じながら観劇したのも、自分が宝塚を好きになったきっかけであった花組で、長い間頑張ってきたあさこさんの、集大成の舞台だ…と思ったからなんですね。前方では大鳥れいさんも観劇していたので、あさこさんがエリザベートを演じた時には、大鳥さんが自分の使っていたアクセサリーを瀬奈さんに贈った、という話も思い出し、時の流れを感じていました。
今まで、トートは春野さんか姿月さんじゃなきゃ!という固い信念があったんですけれど(笑)、それを打ち砕く演技だったと思います。帝劇を観ても、歌はいいとか、演技はいいけれど…という状態だったので、容姿・歌・踊りと3拍子揃ったあさこさんにブラボー!です。
それでは、あとはいい印象だった方を出演順に書いてみます。
龍真咲(ルキーニ)
ちょっぴりかわいいところのあるルキーニでしたが、想像よりずっと男っぽかった。いつか、ルドルフも見てみたいなぁ~と思いました。
凪七瑠海(エリザベート)
組を超えたオーディションで勝ち取った役。それだけでも、応援しようと思っていました。公演数を増やして質が落ちることには反対だけれど、このようなオーディションシステムには賛成です。”娘役トップが決まっているために、役に合った人材をヒロインにできない”、という弊害を打ち破るものだと思うし、”誰でもがヒロインを演じるチャンスを与えられている”、というのも、チャレンジ精神のある方にとっては朗報だと思っているからです。そう思うのは、自分がそんな組織の中にいるためかもしれませんが…。
ただ、1幕目はどうしても、検分の目が鋭くなってしまって(笑)。経験が少ない故の部分も見えはしましたが、ここぞという時の歌唱力はさすがと思いました。1幕最後の大好きなシーン。エリザベートがあの象徴的なドレスで登場し、トート・フランツと歌う場面は圧巻でした。今後にも期待です!
霧矢大夢(フランツ)
「やすらかに眠りたい、せめて今宵だけは…」と訴える歌は、さすがでした…。この方の歌唱力が、全体を支えていたようにも思ったくらいです。1幕最後の、息子の教育はまかせよう、というところも、とても良かったですね!
沢希理寿(マダム・ヴォルフ)・羽桜しずく(子ルドルフ)
メインキャスト以外で目をひいたのがこの2人。どちらも個性が役にぴったりで、本当に上手かった。今後注目していきたいな、って思いました。
明日海りお(ルドルフ)
今回のチケットは、みりおルドルフの日だけしか取るつもりはありませんでしたが、その期待に応える演技だったな~と思います。闇が広がるは、最後のダンスの次に好きなナンバーですけれど、あさこ&みりおの、この2人の美貌と迫力と歌唱力は最高ですね。圧倒的な死の冷たさと、若さと繊細さが滲み出るルドルフという、対照的な2人の様子がよく出ていると思いました。
瀬奈じゅん(トート)
最後にファンモードな感想をちょっぴりいきます(笑)。
私があさこさんを初めて認識したのは、花組エリザの最後のショーで、オールバックで踊るお姿(*^^*)。手を握り締めて上げた状態(片手のガッツポーズ)でリズムを取る踊りは、今でも鮮明に思い出せるくらい素敵でした。それを今回、生で見ることが出来て超感動~(はーと)。名台詞の「死ねばいい!」も、後にひくエコーがしびれるわ~って感じでございました(笑) あと、ショーで大階段に光が当たった時、あ~、あのピンクのドレス素敵~~♪、私もあれを着て、瀬奈さんの周りで踊りたい~♪なんて思っちゃいました(笑) あ、生身の私を知っている方は、現実を想像しないように(爆)夢ですからね、夢です!
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