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2012年11月 2日 (金)

【月】 春の雪:青年館(追記あり)

 明日海りおさんが主演されている、三島由紀夫原作の東京特別公演、『春の雪』を観てまいりました。2回バウ公演を拝見してから、早3週間…。どんな進化を遂げているのだろうと期待しながら、首を長くして東京公演を待っていました。初回の感想はこちらです。

【月】春の雪 :バウホール

  私は映画や漫画を見ていないため、今回の公演のために原作を読み、その時の自分のイメージを持って遠征したのですが、そこで観た舞台は、想像を遥かに超えた美しい舞台でした。

 ただ、帰り道は何となく寂しいような、複雑な心境だったんですよね…。原作に忠実で素敵な舞台だったけれど、これは悲恋の物語。りおさん素敵だった~♪という興奮と、悲しい最期だな…という気持ちが入り混じり、そして、本田・飯沼・蓼科・聡子という、個性豊かな登場人物の、それぞれの思いが胸に迫ってきてね…。もしかしたら、出待ちしたい気持ちを押さえて帰途についたことも、関係したかなぁ(笑)。
 
 でもね、今思うとその時の観劇は、「三島作品」を素直に感じたな…と思えるのです。屈折した性格を持つ主人公と、全く逆の実直な友人、思惑を秘めた特権階級の人たちと、その華族社会を堕落と見なす人たちの存在、美しく官能的な描写だけでなく、高尚な仏教の概念がふんだんに織り込まれた世界。三島作品の作風としては、二元論的思考というものがあるそうですが、このような2面性を肌で感じ、知らず知らずのうちに、その世界に引き込まれていたのだな…と思いました。これはやはり、大劇場の演目とは違う、バウという「芝居小屋の作品」なんですね。

 そう思って東京公演を迎えたので、今回はその世界にどっぷり浸るぞ~!、筋は分かったから、完全にファンモードで観るぞ~!と思って見てきました(笑) 以下、明日海さん中心の感想を書いていきますので、その点ご了承くださいね!


 まず幕開き。開演アナウンスがりおさんの声だというだけで、気分は最高潮~♪ 舞台の中央で踊る美しい清顕を見ながら、その歌声を聴いていると、もうそれだけで終業後にかけつけた甲斐があるわ!と思ってしまうくらい、幸せな気分でした(笑) 波が美しいプロローグですね!

 子供時代のシーンは、飯沼が必見です。バウの時よりも、もっともっと飯沼になっているように感じられました。歌も情感が込められていて、葛藤する気持ちが伝わってくるように思いました。 後で出てくる、みねとの密会シーンも、大正の華族が失った「男」の部分を、上手く演じていらっしゃいますよね!

 そして現れた学ラン姿の清顕と本田。りおさんは今回 『も』 男子高校生(笑) アリスの恋人、ロミオ、春の雪、と続いていますが、学ランと学生鞄が本当によくお似合いです。 (ロミオは、年齢としては高校生ですが、通学しているのだろうか…(^^;) 聡子に意味深な言葉をかけられて、苦悩する顔が美しい…。最後に振り向いた時は、まさに視線に射抜かれるような感じで、酷薄な表情が、まさに清顕でした。

 そこでは、「お前」ではなく、「貴様」という言葉が使われています。原作を読んだ時、そうか、「きさま」は、さげすんだ言葉ではなく、あなたさま(貴方様)なのだ…と思ったんです。最近、クイズ番組でも取り上げられていましたが、この「きさま」という言葉が、大正の雰囲気なんでしょうね!

 そして聡子が美しい振袖で登場。バウより、より自然体の演技になっていているな…思いました。 大劇場で大きく見せるお芝居と違い、小劇場ならではの、心情を映し出す細やかな演技がいいですね。雪見のシーンで、「屋敷に着くまではこのまま」というあたりが、とても良かった。ここの、背景の蝶にスポットライトが当たっているのが素敵です。4列目だったので、雪が客席まで降りかかって、何だか一体化しているようで嬉しかったな…。 お茶会で聞いたところでは、これは「泡」なのだそうです。

 美穂さん、ひとつ前の公演も、ヒロインに付き添う同じような立場の役でしたが、これほどまでに違うとは!というくらい、全く違いますよね。原作の、蓼科と綾倉伯爵との密約部分が描かれてないのですが、 その事情を知っていると、蓼科の表情ひとつひとつに、なるほど…と思います。単なる付き人ではなく、鍵を握る人物ですね!

 治典王、原作と違って、帝劇で見染めたことになっていますね。でも、それで納得のストーリーになっていると思いました。

 シャムの王子たち。夏だ~、海だ~、太陽だ…が笑える…。東京では本田も一緒に眩しがってますね(笑)。バウでは、皆さんかなり大きく笑っていたけれど、東京では声が出てなかったので、笑い損ねてしまいました…。東京の雰囲気なのかなぁ。英語、上手いですね! (千秋楽当日は、大きな笑いが出てました♪)

 鎌倉でのダンス、幸せな二人の顔を見ていると、こちらまでニコニコしてしまいます。三つ揃いの白いスーツと、聡子の白いドレスが本当に素敵。でも、「 私たちの歩いている道は、道ではなくて桟橋ですから、どこかでそれが終って、海がはじまります。」という言葉は、本当に心に染みます。その時思ったのが、歌劇のシステムも、このような側面があるのかもしれないな…ということでした。タカラジェンヌは、いつか卒業するもの。それまでの輝きを楽しませてもらっているような気がします。

 聡子の出家シーン、今回も迫真の演技で、箱の中で眠ろう…という歌は、涙を誘いました。特に今回は、ここの綾倉夫人の言葉にうるうるきました。「良かった…御髪(おぐし)をおろしたのね…。」というところです。母としての葛藤が伝わってきて、本当に素晴らしい。門跡となった聡子が、清顕という方は知らないと言いますが、Wikipediaによると、これは4巻目に出てくる言葉のようですね。

 輝月ゆうまさん、今回もいいですね!研4の輝月さんが、準トップのりおさんを息子として従えているのですが、いやいや、迫力あります。ロミオ(明日海)が大公(輝月)の裁きを受けるのと、清顕(明日海)が父(輝月)から折檻されるのと、重なって見えました。歩き方ひとつにしても、既に男役10年という境地にあるように感じて、すごいなぁ…と感嘆していました。あ、この最後の展開の時系列は原作とは違いますが、 これもすっきりして分かりやすいですね。

 そして、その後想いは届かず、本田に抱かれて最期のシーンとなります。美しいものは儚く散るのが世の常ですね…。

 この春の雪のポスターに、「また、心に砂が滴ってきた」というキャッチフレーズが添えられています。でも、初見の時は、「また?」と思ったんですよね。最初はどこだったのかしら…と思ったのです。そこで、注意して聞いていたのですが、最初は、秋の紅葉見の時の、意味深な言葉を聞いた時に、「ひび割れた心に砂がしみ込む」。そして、帝劇の後で、「また心に砂が滴ってきた」。 聡子が治典王と会う時は、「砂のこぼれる音が聞こえる。」 汽車のシーンの前、自分の力の及ばないところで…と歌うシーンでは、「砂がこぼれ始める」と表現されていたように思います。 間違っていたら、ごめんなさい、、、。でも、この砂は随所で使われていて、キーワードとなっていましたね。

 この帝劇後のシーンになるまで、「砂」に気づかなかったのは、幕開きは、私がみりおちゃんファンモードにどっぷり浸りきっているから…。わぁ~素敵な歌声~きれい~かっこいい~と思っていて、歌詞の内容を全然聞いていなかったことが分かりました…(笑) 青年館で何回か拝見して、こんなにも「また、砂が滴ってきた」の前に、砂、砂、と言っていたことに気づいて、あらぁ~私ったら~と思いました…。

 また今回は、明日海さんの目力(めぢから)を感じた公演でした。「思わず息の止まるような心持ちになる」、という表現がありますけれど、まさにその通り。息が出来なくなるほどの視線の鋭さが、酷薄さを表現していました。手紙は読まない、と言い切る時が一番鋭い。逆に、飯沼を呼んだ時などは、”いたずらっこ”の眼になりますし、2幕初めの、扉の向こうに消える前の、斜め振り返りがいいですね…。ここは落ちろと言わんばかりの演出ですが、まさにその通りになりました(笑) 

 思いつくままに並べてみましたが、最終日に観ることができそうです。三島の世界を、堪能してきたいと思います!

千秋楽の感想はこちら⇒ 【月】春の雪:千秋楽

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