【星】1789大劇場 千秋楽の感想とセットリスト
今日は星組1789の千秋楽でした。星組の一致団結した雰囲気が感じられるだけでなく、前評判の高さを超えてくる、充実した素晴らしい千秋楽だったと思います。
ただこの公演は、初日の翌日から2週間の休演となってしまいました。私も6月は長期休みを取って17日まで関西にいたのですが、初日の感想を書き上げた8時間後に休演の発表が…。結局、生涯で一番長く大阪にいたのに、その後の観劇は叶いませんでした。宝くじ抽選会に当たり、星組もタダで観られるはずだったんですけれどね…。その貴重な初日を観劇できた時の感想はこちらです。
本日は、再開直後の日帰り遠征と、千秋楽の感想になります。
再開直後の状況
千秋楽を観た後に思うのは、初日前のお稽古が減った影響は大きかったのだろうな…休演中の体力の消耗は予想以上だったのだろうな…ということです。星組1789は、初日の時点で大きな反響を呼びましたが、千秋楽近くの公演を観ると明らかにその差を感じました。この大劇場のラスト1週間のコンディションの変化は目を見張るものがあり、初日にすごいと思った感想は何だったのか…と思うほどです。
月組・東宝との違い
- 月組は、ラストが冒頭に描かれていましたが、今回は完全に時系列。
- 月組はトップ娘役がアントワネットを担当し、「許されぬ愛」をアントワネットが歌ったため、フェルゼンとの恋の比重が大きくなった公演。
- 星組版は原作や東宝に近く、オランプがヒロインです。
- 星組版では、身分が違っても愛し合えるのだと歌うロナンの新曲が増え、身分違いの愛に悩む「許されぬ愛」をオランプが歌うことで、二人の愛の物語であることが鮮明になったと思います。
- 東宝版の書下ろしである「革命の兄弟」「武器を取れ」が、今回の星組で取り入れられています。
物語の流れと挿入歌
ここからは物語の内容に沿って曲の説明をしていきたいと思います。私自身が、曲名だけではどの場面で使われているものか思い出せないので、自分の頭の整理のために書いてみました。半分は自分の感想です。
第一幕
1場 ボース地方
幕が開くと、まるでフランスの農村の絵画のような光景が現れます。私の頭には「ミレー」「印象派」という言葉が浮かびました。くすんだ色合いの絵に、生命が吹き込まれたようなプロローグで、それだけでテンションアップします。ロナンの父親が殺され、ロナンが「公正な裁判の一つもないのか!」と叫んだあとの歌がこちら。この後ロナンは、妹のソレーヌを置いてパリへ向かいます。
- Sur ma peau (肌に刻みこまれたもの)
2場 パリの街角
一か月後のパリでは、革命家のデムーランとロベスピエールが演説をしていて、そこにロナンが現れます。
- Hey Ha(デムーランの演説)
その後印刷所で、デムーランとロベスピエールがロナンに自由と権利について説明し、一緒に歩いて行こうと誘います。
- Fréres de la révolution(革命の兄弟)(動画はなし)
3場 ヴェルサイユ宮殿
一転して場面は妖艶なアルトワ伯の登場。コミカルな従者とのやりとりも楽しく、銀橋でお芝居しながら進むと、本舞台ではマリーアントワネットの華麗な場面が現れます。
- Je mise tout(全てを賭けて。フランス原作版の動画にリンクしています)
場面は、アントワネットとフェルゼンの密会の場として選ばれたパレ・ロワイヤルへ。
4場 パレ・ロワイヤル
パレ・ロワイヤルは、革命家と娼婦の巣窟として知られた場所。でもそこでは、世の中が変わることを夢見ている人たちがいました。これは、ダントンの持ち歌。
- Au palais royal(パレ・ロワイヤル)
その後、ダントンの愛人がロナンの妹だとわかり、カフェでソレーヌが「きれいごとで女は一人で生きていけない!」と歌います。心に刺さる、素晴らしい歌で、観客の涙を誘っていました。
- La nuit m'appelle(夜のプリンセス)
5、6、7場 バスティーユの牢獄・ヴェルサイユ宮殿
ロナンは受け取った酒を飲んで、酔って眠ってしまうのですが、そこにアントワネットとフェルゼンが現れ、ロナンはその密会を偶然目撃してしまいます。巻き添えをくらったロナンは投獄され、その牢の中で歌う歌がこちら。鞭で打たれた時も、蹴られた時も、もうその反動のお芝居がすごすぎて、見ていられない。特に最後の焼きごては、見ていて辛すぎます…。
- Maniaque(耐えてみせる)
オランプはロナンを助けるためにバスティーユに向かうだろう…と判断したアルトワ伯は、従者を派遣します。でもロナンは、オランプの父の手引きで脱出に成功。キスされたオランプはここでは逃げるけれど、それ以降ロナンのことばかり考えるようになっていきます。その後ロナンが、巡り会うことがさだめなら逃げない…と銀橋で歌うのが、こちらの有名な歌。
- Tomber dans ses yeux(二度と消せない)
8場 ムニュ・プレジール館
3部会が開かれるものの決裂。
9場 印刷所
ロナンが牢獄から戻り、ロベスピエールやデムーランと自由と平等について議論している時の歌がこちら。
- Pic et pic et amstramgram(自由と平等)(フランス版動画)
摘発されて地下道を通って逃げる途中、シャルロットから「オランプに会ってほしい」と告げられ、ロナンは大聖堂へ向かいます。
10場 サン・ドニ大聖堂
王太子を亡くして傷心のオランプ…。ロナンとオランプの心が一つになった時のデュエットが、この曲になります。愛し合いたいけれど、敵同士…と…。
- La Guerre Pour Se Plaire!(この愛の先に。制作発表のデュエット)
オランプは、信じる道の違うロナンとの愛に悩みます。「愛し合っていても、結ばれない恋もあるわ。」と告げて歌う歌が、許されぬ愛。今回、許されぬ愛をオランプが歌うことで、より「ロナンとオランプの物語」が際立つ構成になっています。舞空さんの力強い歌声は、観客の涙を誘っていました。
- La sentence(許されぬ愛)
11, 12場 ヴェルサイユ、ムニュ・プレジール館
王は、平民が会議場へ立ち入ることを禁止することに同意し、デムーランら革命家たちは門を開けさせるためにヴェルサイユへ向かいます。奥には貴族、本舞台に平民。銀橋も使った壮大な1幕最後の光景は、星組全体のパワーを体感するような気がして心が躍りました!
- Les Mots Que L'On Ne Dit Pas(声なき言葉。フランス版動画へ)
第二幕
1場 球戯場
2幕冒頭。球戯場へ向かう民衆は、客席ドアから登場します!4列で銀橋へ向かい本舞台へ。その球戯場でロベスピエールが演説する歌がこちら。次第に3角形の体制に集合していく振付は、ぞくぞくするほど力強くカッコいい!
- À quoi tu danses?(誰の為に踊らされているのか):ロベスピエール
ロナンも加わった、その後のボディーパーカッションは見どころです。中央列の後方のお席だったことがあるのですが、正面を見据えたロナンをオペラ越しに見ていると、もう最高!の一言(笑)
3場 サン・ドニ大聖堂
アントワネットからの手紙を託されたオランプは、サン・ドニ大聖堂へ。しかし、アルトワの秘密警察に見つかってしまい、アルトワがオランプを誘惑します。この時、媚薬を手にオランプに迫るアルトワから目が離せないのですが、この時のフェルゼンとロナンも戦っているので、目がいくつあっても足りない場面です。
- Je suis un Dieu(私は神だ)
難を逃れたオランプが、ロナンと心を通わせる一瞬。自由になれる日が来たら、その時は…と誓います。これは星組公演のために作られた新曲で、ロナンが歌います。
- 愛し合う自由(新曲)(制作発表会のソロ歌)
5場 パレ・ロワイヤル
王からの命を受けて、ペイロールが民衆の鎮圧に動きます。それに対抗するため、デムーランが民衆に武器を取るよう呼び掛けるのですが、これが私が一番好きなナンバー「武器を取れ」。希望に満ちた歌で、暁さんの歌唱もとても素晴らしく、心が高揚します。観た直後は曲の名前が分からなったので、「葉っぱの歌、いいね!」と言っていた私です…汗。
- Prenez l'arme(武器を取れ):東宝プロモーションの1フレーズ
6場 パリ市街
ペイロールが、民衆を威嚇する時のナンバー。
- Nous ne sommes(国王陛下の名のもとに)
7場 ヴェルサイユ宮殿
ヴェルサイユ宮殿では、フェルゼンが逃亡を提案するものの、国王夫妻は断って残ることを選びます。アルトワやポリニャック夫人は、海外へ避難することを選びます。
- Je Mise Tout : 革命が始まる
- Je vous rend mon àme(神様の裁き):アントワネットの歌。有沙さんの集大成とも言えるナンバーで、客席からは惜しみない拍手が送られていました。
実は私、月組を見た時点では、アルトワ伯が革命後にフランスへ戻り、ブルボン家の最後の王になると知りませんでした。それを知ってからここのセリフを聞くと、そうなのか…なるほど…と思います。ここでオランプはアルトワからの誘いを断って銃を向けるのですが、アルトワ伯から「平民が武器を持つと…」と言われるんですね。王族から見たら、下級貴族は平民と変わらないのか…と思いました。
8場 パリ市街
1789と言えば…というくらいに有名なナンバー。サ・イラ・モナムール。意味を調べたら「どうにかなるさ、愛しい人よ」だそうです。歌詞に「誰もが自由に愛し合う世界」「きっと上手くゆく」「死ぬまで愛し抜く」という言葉があるので、なるほど…と思いました。武器を手にした市民が、爆薬庫のあるバスティーユへ向かうことを決める時の歌。
- Ça ira mon amour(サ・イラ・モナムール):ミュージックビデオ
9場 バスティーユ要塞前
市民がバスティーユへ向かい、爆薬庫を守るオランプの父をロナンが救い出すものの、中尉を狙った銃弾に倒れてしまいます。
- Sur Ma Peau(肌に刻みこまれたもの):ロナン
- Fixe(叫ぶ声):ロナンの死を悼む歌。ソレーヌ、リュシル、デムーラン、ダントン、ロベスピエール
10場 人権宣言
8月26日、人権宣言が採択されて革命は終結へ。白いロナンが登場して、悲しみの報いを順に歌い継ぎ、ラストへ向かいます。この歌詞をプログラムで読んだ時、この1789で表現したかったことが、すべてこの中に集約されているな…と感じました。
- Pour la peine(悲しみの報い):ロナン、全員
フィナーレ
東宝版にないのが、こちらのフィナーレ。瀬央さんのせり上がりで始まるのですが、妖艶なアルトワさんから一転して、いつもの瀬央さんとして登場します。幸せな笑顔で歌っているのを見ていたら、これで星組最後なんて…とウルウルしました。
そして、ロケット、娘役さんに囲まれたトップのダンス、男役総踊り、デュエットダンス、パレードと続きます。星組最高!と思う瞬間です。詩(うた)さんのエトワールは、素晴らしかった!
最後に
今日は、星組パッションを私も叫ぶことができたのが最高でした!!!客席も声出しOKと分かった時は、思わず小さくキャーと叫んでガッツポーズしてしまいました。年甲斐もなく💦 そして実際に叫んだ後は、一人で泣いてました…。3年半前の眩耀千秋楽は、正義中毒に陥った民が歌劇をバッシングしていた頃。あの時のことを思い出すと、ここまで本当に長かった…と思います。入り出待ちや声出しの復活は、本当に奇跡のようです。
東京で完走できますように。
そして一人でも多くの方が、この楽曲の素晴らしさを、劇場で体感できますように。
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