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2024年4月

2024年4月 4日 (木)

ヅカファンが考えるRRR好評の理由

星組公演RRRの千秋楽が、間近に迫ってきましたね。今回、様々なバックグラウンドの友人から感想を聞く機会があったのですが、テンションに違いはあっても、好意的な感想がほとんどでした。これって近年まれにみる現象だと思ったので、つらつらと考えてしまって…。それで今日は「ヅカファンである」私が思う、成功の理由を考えてみました。理由は大きく二つ。

  1. 脚本の落としどころ
  2. 総合芸術としての実力

今日は、それについて書いてみたいと思います。

脚本

基本的に、映画の日本語字幕がセリフとして採用されており、RRRファンが「ここは入れてほしい」と思っている場面が取り入れられたことで、「原作へのリスペクト」を感じることのできる内容だったと思います。

ただ原作は「反英植民地闘争の歴史」を題材としているので、筋骨隆々で屈強な男性が力で抗うシーンが多く、映画では戦いそのものが一つの魅力となっています。そのため、原作を忠実に再現してほしかったファンから見ると、舞台は物足りなさがあったようで、直接的な言葉でそれを語った人もいれば、「宝塚は華麗だと再認識した」とぼかして伝えてきた人もいました。

ただその「力で抗う」部分については、私にとっては「何度も見たくはない」と思った残虐シーンそのものなんですよね…。映画はフィクションとはいえ、差別や抗争は現実に存在した歴史。それを避けてはいけないと理解はしていても、大画面で辛い場面が長時間続くと圧倒されてしまい、物語の流れがつかめなくなっていたように思います。感受性の強い友人は、全編見られなかったと言っていました。

女性ファンの多い宝塚でRRRを上演するにあたり、血なまぐさいシーンがカットされたことで安心感が生まれ、この映画が伝えたい趣旨がストレートに伝わるようになったのではないかな…と思っています。ある日の幕間のことですが、後ろの席のRRRファンのカップルが「俺、このコンパクトさは気に入った。原作が凝縮されているね。」と話しているのが聞こえてきて、それがとても印象に残っています。また、宝塚で上演すると「愛」に傾きがちですが、ジェニーの立ち位置とジェイクの改変も、納得できるものでした。

そんな両極端のファンが納得できる脚本になっているのが、このRRRが成功した一番の要因ではないでしょうか。原作へのリスペクトと切り取り方のあんばいが、秀逸だったのでしょうね。

総合力

RRRの上演が発表になった時、宝塚でやるなら星組だよねと納得した方は多いのではないでしょうか。トップコンビとNo2が宝塚屈指のダンサーで、主演の歌唱力は誰もが知るところ。実際公演が始まってからも、アカデミー歌曲賞となったナートゥは、皆が期待する一番華やかな場面になっていますし、「コムラムビームよ」で立ち上がる民衆の場面は、初めて宝塚に接する方に一番響いた場面になったようです。「歌・ダンス・芝居は、それぞれ職業として成り立つ分野なのに、それらが全部素晴らしいことに驚いた」という感想を多く聞きました。礼さんの演じる素朴な森の勇者と、暁さん演じる知的な英雄の完成度は、ブラボーと言いたい仕上がりですよね。

ただ、それだけだったらここまで反響はなかったと思うのです。

幕開きのWATERRR、マッリの歌声、火事シーンのFIRRRE、Dostiを歌うSINGERRRなど、どれも効果的で素晴らしい。ビームの仲間やラーマの叔父など、主演を囲む役者の個性も光っていますし、スコット総督夫妻をはじめとするイギリス側の傲慢さの匙加減も絶妙だと思いました。森の最終決戦の弓矢の光や、火事シーンの光の演出など、舞台装置や効果音の斬新さも素晴らしく、どれが欠けても魅力は半減したはずです。

前の方で見た時は、舞台各所で組子全員が生き生きと演じているのが伝わってきましたし、後ろから見た時は、舞台照明や光を使った演出のすばらしさに見惚れ、2階から見た時はオケボックスの熱気まで見えて…。まさに総合芸術なんだな…と思いました。

まとめ

この数年、突然休演になることが続いていますので、今回のRRRがここまで上演できたのが奇跡のようです。でもそのおかげで、沢山の友人に観てもらえて本当に嬉しかった。あと3日、完走できますように…と祈っています!

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