礼真琴さんのご卒業に寄せて
宝塚屈指の実力者、星組の礼真琴さんが、2025年8月10日の「阿修羅城の瞳・エスペラント!」の東京千秋楽をもって宝塚をご卒業されました。このブログはここ10年、礼さんの舞台の感想しか書いてこなかったので、簡単な振り返りと今の気持ちを書き留めておきたいと思います。
新人公演時代
私は研2の「愛」で琴さんに魅了され、オーシャンズ11のマイクで歌の実力を知り、黒豹からは本格的に応援してきたファンです。でも私がこのブログで礼さんのことを書き始めた頃は、潜在的な実力はあっても、まだまだ「宝塚の男役」としては発展途上だったと思います。
最後のGraphの中で「自分が努力した先にやっとたどり着ける場所に、生まれ持った素質として既にそれらを持っている人がいて、自分はそこにコンプレックスを持っていた。」「娘役への転向を考えていた。」と語っていらっしゃって、やはりそうだったのか…という思いでした。
当時ヅカ仲間から、「こっちゃんは、実力があっても男役には向いていない。娘役の方が…。」と直接的に言われたことが何度もありましたし、ファンの私が贔屓目にみても、学年不相応の役に苦しんでいるように見えました。それを一番感じたのは、ベンヴォ―リオだったかな…。
2番手まで
そのような状況から、毎公演、ファンの私たちの期待を遥かに上回ったパフォーマンスで成長し続けてきた琴さん。黒豹新人公演では、男役としての貫禄も身に付け、新公とは思えない素晴らしい歌唱で主演を務めあげました。
そして私が彼女の成長を一番実感したのは、男役2番手が確定したショーヴランだったと思います。以下の文章は、その当時の感想です。
今回の遠征で感じたのは、その蕾が一気に開花し始めている…ということ…。方向性を見失いかけて迷走する時もあったけれど、今回は、その潜在的に持っていた力を開放する術を身に付けたのではないか…と思うくらい、何か衝撃的なものを感じました。(全文はこちら。2017 Apr 23)
ただ、当時のスカピンBDと、今年の武道館公演(アンセム)でのマダムギロチンを比較すると、その差は歴然。あの時はすごい成長だわ!と思っていたけれど、今見ると「若造」感があり、アンセムのショーヴランとは全く違う。琴さんは「自分を超えること」を座右の銘としていらっしゃいましたが、有言実行してきた証だと思います。本当にアンセムの「黒い役メドレー」は、色気と低音イケボがさく裂して圧巻でしたね!
トップ時代
そしてその実力が爆発したのが、プレオ披露目のロックオペラモーツァルトでした。初日、1幕終わりの天井を突き抜けるような歌唱があまりに衝撃的で、客席が圧倒され、拍手開始までに空白の時間が生まれたのを覚えています。幕の中では「不評だったのか!?」と心配になったほどだったそうです。(そのインパクトについては こちらの日記 に書き留めてあります。)
その後、トップお披露目公演の途中にコロナ禍となって公演は中断。再開のめどが立たず、宝塚の存続すら危うい事態となってしまいました。でも、生徒さんの身を削る努力もあり、休演しつつも公演が続くようになって「今」があります。その間、沢山の辛い思いもしましたが、最後の退団公演が、マスクなく全公演完走できて本当に良かったです…。
そしてわたくし個人的には、休暇と自分の稼ぎを「自分のため」に使えるようになった時期が、琴さんのトップ時代と重なりました。「推しは推せる時に推せ」を私の座右の銘にし、辛いことではなく、楽しい記憶をブログやTwitterに残すようにしてきました。仲間のつながりも増えて、一緒に力の限り応援できて、幸せなファン生活でした。
退団発表からラストデー
トップさんの退団となると、退団前のプレ情報がいろいろと公式発表されます。
8月23日 武道館/トップ娘役不在 の発表 退団直前コンサートと受け取った。
9月9日 REACH発売 「君が寂しくないように歌を届けよう」「この世界が終わる前に…今、私のできる全てを…」 という歌詞を聞いて、もうその後は聴けない状態になった。退団を意識してのファンに向けたメッセージだと思ったし、リーチという音も、「上がる一歩手前」という意味に感じた。
9月17日 次の演目は新感線 礼さんが大好きな劇団とのコラボだったので、これが退団公演と確信。
9月20日 2025カレンダー 琴さん1月。暁さん8月。(この頃、自分では気づいていませんでしたが相当上の空だったようで、怪我したり落とし物ばかりしていました。いまだに傷跡が残ってます💦)
9月23日 退団発表 翌日記者会見
この後、舞空さんを最高のデュエットダンスで送り出し、年明けには武道館を成功させ、今回の退団公演を最高のパフォーマンスで締めくくりました。本当に本当にお疲れ様、もう充分すぎるほど幸せをいただいたので、あとはご自身の幸せのために生きてください、という気持ちです。
最後に
昔は礼さんの素晴らしさを伝えたくて、ブログを書くのも熱が入りましたが、今は私が感想を上げずとも、各方面の専門家の皆様が礼さんの素晴らしさを語ってくださっています。私が漠然と感じていた実力を言葉にしてくださり、そうだったのか…と思うことも多いです。特に 長田さんの投稿 は、礼さんの卓越した技量を簡潔に表現してくださっていて、さすが…と思いました。最後の歌劇でも、先生方が大絶賛されていましたね。
昔は、私が大絶賛したくても「それはファン目線だからでしょ」と言われそうで、なかなか本心を書けませんでした。でも今日はありったけの思いを込めて叫びたい。礼さんは、その3拍子揃った実力で宝塚の歴史を変えた稀代のタカラジェンヌであり、「男役として」ファンを魅了したトップスターであり、組全体の芸事の実力を上げることに貢献した、最高の指導者だったのだと思います。
ただそれだけでなく、人の立場になって思いやる心を持ったスターでしたよね。
コロナ禍の頃は、千秋楽の挨拶の中で休演して悔しい思いをしている仲間へメッセージを送ったこともありました。休業する直前の挨拶も、あぁこれはあの事を言っているのだ…と分かるような言葉選びをしてファンを安心させてくださいました。
千秋楽のご挨拶は、時間を取って退団者へ”はなむけの言葉”を贈り続けましたし、星組から異動となる仲間がその先で輝けるように言葉をかけたり、次のトップコンビが月の出身であることに敢えて触れて、ファンに「今後の星組をよろしく」と後を託したり…。
本当にこの人についていって良かった…と思えるタカラジェンヌさんでした。今まで本当にありがとうございました(泣)



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